無駄知識の掃き溜め

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科学的に考えた場合、センシを変えるべき

”どんなセンシでもいいけど快適な設定を見つけたら変えるな”

 

誰もが聞いたことがあるでしょう。
誰もが似たようなことを言ったことがあると思います。初心者にアドバイスを求められたとき、このことを言うはずです。
チームメンバーがティルトしてセンシを変えてるのを見て、我々は呆れますね。

 

しかし、これについて科学は何を示すのでしょうか。

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 ソース:https://redd.it/dm1kjw

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4747782/#R12

2016年のこの研究で研究者たちは効果的にマッスルメモリーを鍛える方法をテストしました。
具体的に2つの主な疑問について分析しました。

 

1.練習中のmechanical requirement機械的要件の変化がどのようにパフォーマンスに影響するか
2.練習から恩恵を受けられるまでにどれぐらいかかるのか

※mechanical requirementの最適な訳が見つかりませんでした;;有識者の方、ご教授いただけると幸いです。

 

研究チームはこの研究のために新しいタイプのマウスでテストしました。
カーソルを上下に動かすのに、被験者は通常のマウスのように物理的に動かすのではなく、マウスのサイドを握らなければなりません。
これは一部の被験者の”専門性”による相反の可能性を取り除くためです。

※うまく翻訳できていませんが、おそらくマウスの使用に慣れている人と慣れていない人の差をなくすためだと思います。

 

被験者に以下のテストをさせました。
画面上の的を可能な限り速くクリックします
しばらくした後、練習の時間を与えました。
その後、更にテストをさせました。

 

これらの被験者はグループ毎に分けられました。
いくつかのグループは最初のテストの後すぐに練習、他は各セッションの間に6時間の遅延を入れた、など。

 

ここで面白くなってきます。

 

こっそり研究者は練習中に、何人かの被験者のセンシを変えました。

そしてどの程度改善が見られるかを比較しました。


結果

1.最初のテストから30分以内の練習は結果に一切反映されませんでした。
言い換えれば、数分間練習したら最低でも30分は待ってから練習すべきです。そうでなければ時間を無駄にするだけです。

 

2.練習後、テストパフォーマンスは6時間改善し続けました。その後、追加の練習を終えるまでテストパフォーマンスは一定のままになりました。
(変化がなくなりました)
つまり、脳は平均6時間で練習したことを吸収します。

 

3.全ての被験者(練習が30分未満のグループ以外)はパフォーマンスが改善されました。
しかし、こっそりセンシを変えられた被験者たちは、そうでないひとに比べてかなり優れた改善が見られました。
言い換えれば、練習中にセンシを変えることは3倍近い改善になります!

 

4.しかし、同じセンシを使ってテスト1と練習1をし、センシを変えてテスト2をすると劇的にパフォーマンスが落ちました。最初のテストの後にセンシを変えてそのままにしても同じことが起きました。
※文章中には書いていませんが、これはこっそりセンシを変えたのではなく、被験者がセンシ変更を認知しているのだと思われます。

 


何が起きたのか

最もシンプルに考えれば脳が怠けています。
状況が変わらなければ、脳は集中するのにリソースをフルで使わなくなります。

 

しかしセンシを変えると...突然変化が起きます。
脳は変化に対応する必要がでてきて活性化します。

 

しかし、脳は既に似たようなことをしています(元のセンシ)
つまり、最後に使った神経経路を活性化します。
より強く、より様々な経路を展開します。

 

これは結果4も説明しており、最初に同じ神経経路を活性化していなければ、良いパフォーマンスは得られません。

 

これを活用するには

毎日、たまに若干センシを変え、そして元のセンシに戻します。
変更したセンシを認知してしまうのであれば2つのセンシでbindを組んで、自分がどちらのセンシなのかわからなくなるまでキーを連打しましょう。

 

次に、何か練習したあとは休憩を入れましょう。
リコイルコントロールの練習をしたら、すぐに試合はせず最低でも30分は待ちます。
体が練習したことを吸収するまで時間を置きます。

時間を無駄にしたくないのであれば、デモを見る、キャラコンの練習をするなどします。
2時間のうちに1つのことを練習するより、8つの異なることを15分毎に練習したほうが良いと言えます。

 

まとめ

 

マッスルメモリーを鍛えるには練習中にこっそりセンシを変えると劇的に効果的です。
また、脳に練習したことを完全に吸収させるには平均で6時間待つ必要があります。

 

 

補足

ツイッター上で @Eristic_boy 様にご指摘頂いた内容を含めて書いています。

ありがとうございました。

 

  • 練習中にセンシを変えたら、本番(試合)では元のセンシに戻すことで最も効果が得られるようです。
  • このことから以下のようなサイクルがGOにおいては最適だと考えられます。これは私の推測です。

BOT撃ちをする→途中でセンシを変える→BOT撃ちを継続する→(センシを戻してBOT撃ちを継続する)→試合が釣れる→センシを戻す→試合をする

 

  • 引用元の研究では被験者にセンシを変えたことは伝えていないのでセンシを変えたことを本人が認識しているかどうかの影響はわからないそうです。
  • 少なくともこの研究データ上ではセンシを変えたことを認識していない被験者のパフォーマンスが上がっているので、我々が再現しようとする場合でも認識しないようにしたほうがいいと考えられます。

 

センシの変え方

自分で気づかずにセンシを変えるためには、DPIボタンで2つのDPIを設定し、連打するのが一番簡単だと思います。(例えば通常400DPIのひとであれば、400と420に設定するなど)

ここであまりDPIに差があると自分で気づいてしまうので小さくしたほうが好ましいと思われます。

DPIを変えずにGO内のみでセンシを変えたい場合は以下のコマンドを使うことで可能です。例として通常センシを2.5とし、Pキーに設定しています。

bind p "toggle sensitivity 2.5 2.55"

 

不明な点

  • 上で書いた通り、センシを変えたことを本人が認識している・いないでの影響がわかっていません。
  • この研究では短期的な結果のみわかっており、長期的な効果は判明していません。
  • どれぐらいセンシを変えれば最も効果得られるかがわかっていません。